訪問診療を検討し始めると、「これは医療保険なのか、介護保険なのか」がわかりにくいと感じる方が多くいらっしゃいます。同じ「自宅に来てもらうサービス」でも、適用される保険が違えば、手続きの窓口も自己負担の計算方法も変わります。
この記事では、訪問診療で使う保険の種類と、介護保険サービスとの使い分けを、ご家族の視点から整理してご説明します。
訪問診療は「医療保険」、介護サービスは「介護保険」
まず押さえていただきたいのは、医師が診察を行う訪問診療は医療保険の対象だという点です。ホームヘルパーによる生活援助や身体介護、デイサービス、福祉用具のレンタルなどは介護保険の対象です。
そのため、要介護認定を受けていない方でも訪問診療は利用できます。「介護保険の認定がまだなので訪問診療は頼めない」と考えてご相談をためらわれる方がいらっしゃいますが、その必要はありません。
医療保険と介護保険の違いを整理すると
| 医療保険 | 介護保険 | |
|---|---|---|
| 主な対象 | 診察・検査・処置・処方などの医療行為 | 生活援助・身体介護・福祉用具など |
| 訪問診療での位置づけ | 訪問診療・往診はこちら | 居宅療養管理指導・訪問介護などはこちら |
| 利用の前提 | 年齢を問わず加入者が対象 | 原則65歳以上で要介護・要支援認定が必要 |
| 自己負担 | 年齢や所得に応じて1〜3割 | 所得に応じて1〜3割 |
| 上限の仕組み | 高額療養費制度 | 区分支給限度基準額/高額介護サービス費 |
| 相談窓口 | 医療機関 | ケアマネジャー・地域包括支援センター |
訪問診療とあわせて介護保険を使うもの
訪問診療そのものは医療保険ですが、在宅療養を支える周辺のサービスには介護保険を使います。実際には、この2つを組み合わせて生活を支えていくことになります。
- 訪問介護(ホームヘルパーによる身体介護・生活援助)
- 訪問入浴、デイサービス、ショートステイ
- 福祉用具のレンタル、住宅改修
- 居宅療養管理指導
居宅療養管理指導は介護保険ですが、限度額の枠外です
居宅療養管理指導は、医師・薬剤師・管理栄養士などがご自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うサービスで、介護保険の扱いになります。ただし、区分支給限度基準額(介護保険で使える月々の上限枠)には含まれません。そのため、これを利用してもヘルパーやデイサービスの利用枠が圧迫されることはありません。ここは誤解されやすい点です。
訪問看護は状況によって保険が変わります
混乱しやすいのが訪問看護です。要介護・要支援の認定を受けている方は原則として介護保険が優先されますが、対象となる疾患や状態、医師の指示の内容によっては医療保険での利用になる場合があります。
どちらになるかはご本人の状況によって変わりますので、訪問看護の利用をお考えの際は、担当のケアマネジャーと訪問診療医にご確認ください。当院でも、訪問看護ステーションと連携しながら調整を行っています。
自己負担を軽くする仕組み
医療保険と介護保険には、それぞれ自己負担が高額になったときの軽減制度があります。
- 高額療養費制度:医療保険の自己負担が1か月の上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です
- 高額介護サービス費:介護保険の自己負担が上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です
上限額は年齢や所得によって異なり、申請が必要な場合もあります。詳しい金額や手続きは、加入されている保険者(健康保険組合・市区町村など)にご確認ください。当院でも、ご相談いただければ確認先をご案内します。
よくあるご質問
Q. 介護保険と医療保険は同時に使えますか?
はい、併用できます。訪問診療を医療保険で受けながら、ヘルパーやデイサービスを介護保険で利用することは一般的です。それぞれ別の制度として計算されます。
Q. 要介護認定の申請中でも訪問診療は始められますか?
始められます。訪問診療は医療保険のサービスのため、認定結果を待つ必要はありません。認定後にケアプランを作成する際、訪問診療の状況を踏まえて調整していただく形になります。
Q. 手続きはどこに相談すればよいですか?
訪問診療については医療機関に直接ご相談ください。介護保険のサービスについては、担当のケアマネジャー、まだ決まっていない場合はお住まいの地域包括支援センターが窓口になります。両方が必要な場合も、まずはご相談いただければ整理してご案内します。
まとめ
訪問診療は医療保険、生活を支える介護サービスは介護保険——この区別を押さえておくと、ご家族が窓口を探す際に迷いにくくなります。要介護認定がなくても訪問診療は始められますので、通院が難しくなってきた段階でお早めにご相談ください。
横浜市および川崎市の一部で訪問診療をお考えの方は、横浜ホームクリニックまでお気軽にお問い合わせください。制度の組み合わせについても、状況をお伺いしながらご案内いたします。
この記事は、 横浜ホームクリニック 院長 大澤基医師が監修しました。
コメント