高齢化が進む現代社会において、通院が困難な方々にとって訪問診療は重要な医療サービスとなっています。しかし、訪問診療を利用する際に医療保険と介護保険のどちらが適用されるのか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。本記事では、訪問診療における保険の適用範囲や、介護保険が使われるケースについて詳しく解説します。
なお、訪問診療の仕組みや対象となる方について、以下の記事でもご紹介しています。
医療保険と介護保険の基本的な違い
医療保険は、病気やけがの治療を目的とした医療サービスに対して適用される保険制度です。一方、介護保険は、日常生活における介護や支援が必要な方々を対象とした保険制度で、要介護認定を受けた方が利用できます。
医療保険の特徴
- 全国民が加入する制度で、医療機関での診察や治療、検査などに適用されます。
- 自己負担額は原則1〜3割で、年齢や所得により異なります。
- 利用限度額は設定されておらず、必要な医療サービスを受けることができます。
医療費の負担額については、ぜひ以下の記事もご参照ください。
介護保険の特徴
- 40歳以上の方が加入対象で、要介護認定を受けた方が利用できます。
- 介護サービスには、訪問介護やデイサービス、福祉用具の貸与などが含まれます。
- 要介護度に応じて1か月ごとの利用限度額が設定されており、超過分は全額自己負担となります。
介護保険では、要介護認定者への生活支援や介護予防、介護器具の購入などが利用できます。介護保険は医療保険と異なり、要介護の区分によって1か月ごとに限度額が設定されている点が特徴です。つまり、限度額を超えた分については全額自己負担となる点に注意しなければなりません。
介護保険の対象については、ぜひ以下の記事もご参照ください。
訪問診療における保険の適用
訪問診療は、医師が患者の自宅や施設を訪問して診察や治療を行う医療サービスです。このため、訪問診療にかかる費用は医療保険の対象となります。要介護認定の有無に関わらず、通院が困難な方であれば訪問診療を利用することができます。
医療保険が適用されることで、介護保険の利用限度額を気にせずに医療サービスを受けることが可能です。これは、他の介護サービスの利用に影響を与えずに済むというメリットがあります。なお、実際にかかる金額は、自己負担額や病気の状態によって異なります。詳しくは以下のページをご覧ください。
居宅療養管理指導と介護保険の適用
要支援・要介護認定を受けている方が訪問診療を利用する場合、医療保険に加えて介護保険が適用されるケースがあります。それが「居宅療養管理指導」です。居宅療養管理指導は、医師や薬剤師などが患者の自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うサービスで、介護保険の対象となります。このサービスを利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 要介護1〜5または要支援1・2の認定を受けていること
- 月に1回以上の訪問診療を受けていること
- ケアマネジャーへ定期的に診療情報を提供していること
居宅療養管理指導には訪問回数の上限があり、自己負担額は1〜3割となります。具体的な費用は、訪問する職種や同一建物内の利用者数によって異なりますが、1割負担の場合で1回あたり約299円、月最大で約598円です。
適切な保険の利用で安心の療養生活を
訪問診療は医療保険の適用により、介護保険の利用限度額を圧迫することなく医療サービスを受けることができます。また、要介護認定を受けている方は、居宅療養管理指導を併用することで、より充実した在宅療養が可能となります。
訪問診療や介護保険の利用についてご不明な点がございましたら、かかりつけの医療機関や担当のケアマネジャーにご相談ください。横浜ホームクリニックでは、訪問診療に関するご相談を随時受け付けております。横浜市・川崎市にお住まいの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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