少子高齢化が進む現代、病院に通うことが難しい方にとって「訪問診療」のニーズはますます高まっています。とはいえ、「自宅が訪問の範囲内にあるかわからない」「どこまで診てもらえるの?」といった疑問を抱える方も少なくありません。
この記事では、訪問診療における「範囲」について、距離的な面と診療内容の面の2つの側面から解説します。訪問診療を前向きに検討するきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
訪問診療とは?往診との違いと利用可能な人
「訪問診療」と「往診」は似たような意味で使われますが、制度上は少し異なります。
- 訪問診療:計画的かつ定期的に医師が患者のもとへ診察に訪れること
- 往診:急な病状悪化などに対して、医師が臨時で訪問すること
訪問診療の対象となるのは、通院が困難な方です。たとえば、杖歩行をしている方や車椅子の方、認知症の進行で外出が難しい方、介護者の付き添いがないと通院できない方などが該当します。また、訪問診療はあくまで「定期的な医療の提供」を目的としているため、「急な発熱だけ対応してほしい」といった緊急対応のみの利用は不可です。
訪問診療には2つの「範囲」がある
1. 距離的な「範囲」
訪問診療を提供するには、医療機関から半径16km以内というルールがあります。これは保険診療の条件として定められているものです。そのため、かかりつけのクリニックがあっても、16km以上離れていると訪問診療を受けることができない場合があります。対応可能エリアかどうかは、事前に確認が必要です。なお、横浜ホームクリニックでは、横浜市全域・川崎市の一部に対応しております。詳細についてはこちらをご覧ください。
2. 診察や処置の「範囲」
もう一つの「範囲」は、どこまでの診療や処置が受けられるかという内容的な側面です。訪問診療では、基本的に病院と同様の診察・検査・治療・処方などが可能です。ただし、対応できる診療内容は医療機関によって異なる場合があります。今回は、具体的に訪問診療で受けられる主な内容についてご紹介します。
訪問診療で受けられる診察や処置とは?
健康チェック
- 診察、血圧測定、体温測定など
- 定期的なバイタルチェックを通じて健康状態を把握
治療
- 点滴や注射、内服薬の投与など
- 慢性疾患や緩和ケアなど幅広く対応
検査
- 採血、検尿、心電図など
- 必要に応じて在宅での検査も可能
医療処置
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 経尿道カテーテルの交換
- 在宅酸素療法、胃ろう管理 など
- 症状に応じた薬の処方箋を発行
- 提携薬局との連携で薬の宅配も可能な場合あり
- 認知症高齢者グループホーム
- 養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅 など
処方
当院も、上記の各内容に対応しております。詳細についてはこちらのページをご参照ください。
自宅以外での訪問診療は可能?
訪問診療は、自宅に限らず以下のような施設に入居している方も対象となります。
施設によっては、訪問診療と連携した体制が整っているところもあるため、事前に施設や医療機関に確認するとよいでしょう。
訪問診療の診療科目
訪問診療では、内科以外にもさまざまな診療科目に対応している場合があります。対応している診療科目はクリニックによって異なるため、必要な診療内容が提供されているかを事前に確認することが重要です。
現在当院には、以下の各科を専門とする合計11名の専門医が在籍しており、それぞれの専門領域で在宅医療を担当しています。
腎臓内科・呼吸器内科・循環器内科・神経内科・消化器内科・小児科・皮膚科・精神科・泌尿器科
「高齢の親の病気が心配」「慢性疾患の管理を自宅で受けたい」「小児の訪問診療をお願いしたい」など、様々なケースに対応しております。当院の医師は、ただ症状を診るだけでなく、患者様一人ひとりの生活背景やご家族のご状況にも配慮した、きめ細やかな医療を心がけております。詳細については、以下のページをご参照ください。
訪問診療で安心な毎日を
定期的な通院が難しい方にとって、訪問診療は非常に心強い医療の形です。病院と同様の診療が自宅や施設で受けられることで、体への負担を減らしながら継続的な医療管理が可能になります。さらに、訪問診療を継続的に利用しておくことで、万一の体調悪化にも素早く対応でき、安心感にもつながります。
「うちでも訪問診療を受けられるのかな?」と感じた方は、まずは医療機関に相談してみましょう。距離や症状など、条件に応じた対応方法を一緒に考えてくれるはずです。横浜市・川崎市にお住まいの方は、ぜひ一度当院にご相談ください!
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