高齢の方や持病をお持ちの方にとって、病院への通院が大きな負担になることは少なくありません。特に階段の上り下りや、公共交通機関の利用が難しくなると、体調が悪くても病院に行けず困ってしまうことも。そのようなときに頼りになるのが、「訪問診療」という選択肢です。
訪問診療は医師がご自宅や施設を定期的に訪問して診療を行う医療サービスですが、誰でも希望すれば利用できるものではなく、「通院が困難であること」が条件とされています。では、どのような状況が「通院困難」と判断されるのでしょうか?本記事では、訪問診療を利用する際に必要な条件や注意点について、わかりやすく解説します。
訪問診療は「通院が困難な人」のための医療サービス
訪問診療とは、医師や看護師が定期的にご自宅を訪問し、診察や処置、処方を行う医療サービスです。対象となるのは「在宅で療養しており、疾病や傷病のために通院が困難な方」とされています。たとえば、慢性的な病気で体力が低下している方や、歩行が難しい方、認知症が進んでいて外出が不安な方などがこれにあたります。ただし、「通院困難かどうか」の判断は一律ではなく、最終的には主治医の判断に委ねられます。
訪問診療で通院困難と認められる代表的な理由
「通院が困難」とされる理由には、さまざまな事情があります。ここでは代表的なケースを紹介します。
■ 筋力低下や障害により長時間の歩行が難しい場合
脳梗塞の後遺症や、パーキンソン病などの進行性の疾患によって歩行が難しくなっている場合、通院の負担は非常に大きくなります。また、高齢による体力低下や骨粗鬆症などで転倒リスクが高い場合も、訪問診療が適していると判断されることがあります。
■ 認知症や精神的な疾患を抱えている場合
認知症によって外出時に迷ってしまう可能性がある、あるいは医療機関での手続きが理解できないといった理由で通院が困難な方も、訪問診療の対象となります。また、うつ病や統合失調症などの精神疾患によって外出そのものが難しいというケースも含まれます。
■ 医療機器の装着により移動が困難な場合
人工呼吸器や在宅酸素、カテーテル、点滴など、医療機器の装着により移動が制限されている場合も、訪問診療の対象になりやすいです。これらの医療機器は移動中の安全確保が難しいため、医療従事者が自宅で対応する必要があります。
注意:訪問診療で対象外と判断されるケースも
訪問診療は基本的な医療行為には対応していますが、CTやMRI、手術が必要なケースなど、高度な設備を要する医療行為は自宅で行えません。このような場合は病院での受診や入院が必要となります。
迷ったら、まずはご相談を
「この症状は訪問診療の対象になるのかな?」「実家の親の状態でもお願いできるのか?」そういったご不安をお持ちの方は、一度主治医や地域包括支援センター、または当院のような訪問診療クリニックにご相談いただくことをおすすめします。横浜ホームクリニックでは、訪問診療をご検討中の方からのご相談を随時受け付けております。実際にご本人やご家族の状況をお伺いしたうえで、対象となるかどうか、どのような診療が可能かなどを丁寧にご案内させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。
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