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心房細動とは?|自宅での管理と訪問診療の選択肢

高齢者の間でよく見られる不整脈のひとつに、「心房細動(しんぼうさいどう)」があります。動悸や息切れを引き起こすこの病気は、放置しておくと脳梗塞や心不全などの重大な合併症を招くおそれもあるため、早期の診断と適切な治療が欠かせません。とはいえ、心房細動の患者様の中には、体力の低下や持病の影響で定期的な通院が困難な方も少なくありません。そんなときに頼りになるのが、訪問診療という選択肢です。

心房細動とは?原因と症状を解説

心房細動は、心臓の上部(心房)が小刻みに震えることで、規則正しい心拍が乱れる不整脈の一種です。以下のような症状が見られることがあります。

  • 動悸や胸の違和感
  • 息切れ・倦怠感
  • めまいやふらつき
  • 意識が遠のく感覚

原因は高血圧や心臓の病気、加齢などさまざまです。発作性(時々起こる)から慢性化(常に持続)するケースもあり、症状がなくてもリスクが高い状態といえます。

心房細動を放置するとどうなる?

心房細動が怖いのは、血栓ができて脳梗塞を引き起こすリスクが高まる点です。心臓内で血液がよどむことで血栓ができやすくなり、それが脳へ飛ぶと「心原性脳塞栓症」と呼ばれる重篤な状態に。命に関わるリスクがあるため、早期の予防と継続的な治療管理が非常に重要です。

心房細動の治療と訪問診療でできること

心房細動の治療には、以下のような内容があります。

  • 抗凝固薬の処方と服薬管理(脳梗塞予防)
  • 心拍数をコントロールする薬の処方
  • 血圧・心電図モニタリング
  • 心エコー図検査
  • 必要に応じて大学病院等への検査紹介

これらは訪問診療でも十分に対応が可能です。医師がご自宅に訪問して診察・処方を行い、患者様の状態を継続的にフォローすることができます。また、状態の変化があった場合も、必要に応じて迅速に他院との連携や再検査の手配も行えます。

心房細動によく使われる薬剤

1. 抗凝固薬

目的:脳梗塞など血栓塞栓症の予防

薬剤名 分類 備考
ワルファリン ビタミンK拮抗薬 INRモニタリングが必要
ダビガトラン(プラザキサ) 直接トロンビン阻害薬(DOAC) 腎機能に注意
リバーロキサバン(イグザレルト) Xa阻害薬(DOAC) 食事と一緒に服用推奨
アピキサバン(エリキュース) Xa阻害薬(DOAC) 比較的出血リスクが低い
エドキサバン(リクシアナ) Xa阻害薬(DOAC) 1日1回投与

2. レートコントロール薬

目的:心拍数を抑える(心室応答を制御)

薬剤名 分類 備考
ビソプロロール(メインテート) β遮断薬 慢性期に使用されることが多い
カルベジロール β遮断薬 心不全合併例に有用
ベラパミル 非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬 徐脈に注意
ジルチアゼム 非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬 除脈作用あり
ジゴキシン 強心配糖体 高齢者・心不全例で使用されるが中毒に注意

3. リズムコントロール薬(抗不整脈薬)

目的:洞調律への復帰・維持

薬剤名 分類 備考
ピルシカイニド(サンリズム) I群(Naチャネル遮断薬) 発作性AFに有効(構造的心疾患×)
シベンゾリン(シベノール) I群(Naチャネル遮断薬) 房室伝導遅延に注意
プロパフェノン(プロノン) I群(Naチャネル遮断薬) 徐脈・心室性不整脈に注意
アミオダロン(アンカロン) III群(Kチャネル遮断薬) 肺障害、甲状腺機能異常、肝障害に注意
ニフェカラント(シンビット) III群(Kチャネル遮断薬) 緊急時静注用、QT延長に注意

4. その他の補助薬

目的:基礎疾患・AFの背景病態のコントロール

薬剤名 分類 備考
ACE阻害薬 / ARB 降圧薬 高血圧・心不全の管理、AFの再発予防
スタチン 脂質異常症治療薬 動脈硬化・炎症のコントロール
利尿薬(フロセミド等) 利尿薬 心不全合併例で用いることあり

通院が難しい方は、訪問診療をご活用ください

「通院がつらい」「待ち時間が長くて体調が悪化してしまう」――そんな不安をお持ちの方にとって、訪問診療は安心して治療を継続するための有効な選択肢です。横浜ホームクリニックでは、心房細動のように継続的な治療と服薬管理が必要な慢性疾患をお持ちの方へ、ご自宅での安心できる医療体制をご提供しています。24時間365日の電話対応体制を整えており、必要に応じて緊急時の往診にも対応しています。

まとめ|心房細動の管理は「通いやすさ」より「続けやすさ」

心房細動は、命に関わる合併症を引き起こす可能性がある病気です。しかし、適切な治療を継続すれば、多くの方が安定した生活を送ることが可能です。横浜市・川崎市を中心に訪問診療を行う横浜ホームクリニックでは、患者様とご家族の安心を第一に、地域に根差した医療を提供しています。「通院がつらい」「このまま放っておいていいのか不安」――そう感じていらっしゃる方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

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