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糖尿病とは?早期発見・継続的な管理で合併症を防ぐために

糖尿病は、日本においても年々増加傾向にある生活習慣病の一つです。初期にはほとんど自覚症状がないため、気づかないまま進行してしまうケースも少なくありません。しかし、早期発見・早期治療により、健康的な生活を維持することは十分可能です。この記事では、糖尿病の基礎知識から在宅での対応まで、わかりやすくご紹介します。

糖尿病とは?

糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が慢性的に高くなる病気です。血糖値の調整に重要な働きをする「インスリン」というホルモンの分泌量が不足したり、うまく働かなくなることで、体内の糖が適切に利用されず、血中に残ってしまいます。

糖尿病の主な種類

糖尿病は大きく分けて以下の3種類があります。

  • 1型糖尿病:自己免疫によって膵臓のインスリン分泌ができなくなる疾患。小児~若年で発症することが多い。
  • 2型糖尿病:生活習慣の影響でインスリンの働きが悪くなったり分泌が不十分になるタイプ。日本の糖尿病の大部分を占めます。
  • 妊娠糖尿病:妊娠中に一時的に血糖値が高くなる状態。出産後に正常に戻ることが多いが、将来的な糖尿病リスクが高まる。

糖尿病の主な症状

糖尿病の初期には自覚症状が乏しいため、健診などで偶然発見されることもよくあります。進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • のどが渇く・水をよく飲む
  • トイレが近くなる
  • 体重が減る
  • 疲れやすい・だるい
  • 手足のしびれやむくみ

糖尿病が引き起こす合併症

糖尿病が長期間コントロールされないと、全身の血管や神経に影響を与える「合併症」を引き起こすことがあります。代表的なものは以下の3つです。

  • 糖尿病網膜症:視力低下や失明の原因に
  • 糖尿病腎症:腎不全・人工透析の原因になることも
  • 糖尿病神経障害:しびれや痛み、感覚麻痺などを引き起こす

そのほか、心筋梗塞や脳梗塞、感染症にかかりやすくなるなど、全身に影響を及ぼします。

糖尿病の検査と診断

糖尿病の診断には、主に以下の検査が用いられます。

  • 空腹時血糖値:126mg/dL以上
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):6.5%以上
  • 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)

これらの結果を踏まえ、医師が総合的に診断を行います。

治療の基本:生活習慣の見直しと継続的なフォロー

糖尿病の治療には、以下のような取り組みが欠かせません。

1. 食事療法

栄養バランスを考え、適切なカロリーを守ることが重要です。急激な血糖上昇を防ぐため、「低GI食品」や食べる順番に注意することも有効です。

2. 運動療法

軽い有酸素運動(ウォーキング、体操など)を週数回取り入れると、インスリンの働きが改善されます。

3. 薬物療法

食事や運動だけでコントロールが難しい場合は、内服薬やインスリン注射などが用いられます。

4. 定期的な受診・検査

HbA1cや合併症のチェックのため、定期的な医師の診察が不可欠です。

代表的な糖尿病薬

1.ビグアナイド薬(インスリンの効きを良くする薬)

  • 代表的な薬剤:メトグルコ(一般名:メトホルミン)
  • 特徴:肝臓からの糖の産生を抑え、筋肉や脂肪組織でのインスリンの効きを高めます。体重が気になる方も使いやすい薬です。

2.DPP-4阻害薬(インクレチンを長く効かせる薬)

代表的な薬剤:

  • ジャヌビア(一般名:シタグリプチン)
  • グラクティブ(一般名:シタグリプチン)
  • ネシーナ(一般名:アログリプチン)
  • トラゼンタ(一般名:リナグリプチン)
  • テネリア(一般名:テネリグリプチン)

特徴:食事に応じて自然にインスリン分泌を助けるため、低血糖のリスクが少ないのが特徴です。

3.SGLT2阻害薬(尿に糖を出して血糖を下げる薬)

代表的な薬剤:

  • フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)
  • ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)
  • スーグラ(一般名:イプラグリフロジン)
  • ルセフィ(一般名:ルセオグリフロジン)

特徴:尿に糖を排出して血糖を下げる。体重も下がりやすくなることから、肥満体型の方によく使われる。また、慢性心不全や慢性腎不全の予後を良くする効果もあるため糖尿病以外の疾患にも用いられる。

4.SU薬(インスリンの分泌を促す薬)

代表的な薬剤:

  • アマリール(一般名:グリメピリド)
  • オイグルコン(一般名:グリクラジド)
  • ダオニール(一般名:グリベンクラミド)

特徴:インスリン分泌を促進します。低血糖に注意が必要です。

5.グリニド薬(食後の血糖上昇を抑える速効型の薬)

代表的な薬剤:

  • シュアポスト(一般名:レパグリニド)
  • ファスティック(一般名:ナテグリニド)
  • スターシス(一般名:ミチグリニド)

特徴:食事の直前に飲むことで、食後の血糖の急上昇を抑えます。

6.α-グルコシダーゼ阻害薬(糖の吸収をゆっくりにする薬)

代表的な薬剤:

  • ベイスン(一般名:ボグリボース)
  • グルコバイ(一般名:アカルボース)
  • セイブル(一般名:ミグリトール)

特徴:食後の血糖上昇を抑える薬で、食事と一緒に服用します。

7.GLP-1受容体作動薬(インクレチンを直接活性化する注射薬/一部経口あり)

代表的な薬剤:

  • オゼンピック(一般名:セマグルチド/週1回注射)
  • ビクトーザ(一般名:リラグルチド/1日1回注射)
  • リベルサス(一般名:セマグルチド/経口タイプ)

8.インスリン製剤(不足しているインスリンを補う注射薬)

種類と代表薬:

  • 超速効型:ノボラピッド、ヒューマログ、アピドラ
  • 持効型:トレシーバ、ランタス、レベミル
  • 混合型(配合):ノボラピッド30ミックス、ヒューマログミックスなど

特徴:自然なインスリン分泌に近づけるように、複数のタイプを使い分けることもあります。

訪問診療での糖尿病管理

当院では、通院が難しい患者様に対し、在宅での糖尿病管理をサポートしています。定期的な訪問診療により、以下のようなケアを提供しております。

  • 血糖値やHbA1cのモニタリング
  • インスリンや内服薬の調整
  • 栄養指導や運動のアドバイス
  • 合併症の早期発見・予防
  • 患者様とご家族への継続的なサポート

特徴:血糖コントロールだけでなく、食欲抑制・体重減少効果もあります。心血管疾患予防にも効果があるとされており、注目されている薬です。

糖尿病は「自宅での生活管理」が重要な病気です。医療者が定期的に介入することで、病状の安定だけでなく、患者様の安心感や生活の質の向上にもつながります。

まとめ|糖尿病と向き合い、健康的な生活を

糖尿病は「一生付き合っていく病気」とも言われますが、適切な管理によって進行や合併症を防ぐことは可能です。早期の段階から正しい知識を持ち、無理のない形で生活習慣を見直すことが大切です。横浜ホームクリニックでは、糖尿病の訪問診療にも力を入れており、患者様一人ひとりの生活やご家族の事情に合わせた支援を行っています。ご不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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