「訪問診療を受けながら看取りをしてあげたい…」
終末期のご家族のケアについて、このような気持ちをお持ちの方は少なくありません。
「愛する家族に自宅でゆっくりと過ごしてもらいたい」と思うのは自然なことですが、医療ケアをどのように進めればよいのかわからない方もいます。そこで今回は、終末期の訪問診療と在宅看取りについて解説します。
在宅での看取りとは?
「看取り」とは、治る見込みのない家族や身近な人の世話をしながら、最期まで見守ることです。そこに「在宅」がつくことで、主に家族が、死期の近い家族のお世話を自宅で行うことを示すようになります。昨今、自宅で最期を迎えたい方が増えています。医療機関に入院し、病室で最期を迎えるよりも、自宅で穏やかに過ごすことで、QOL(Quality of Life:生活の質)を向上できるからです。この点に在宅看取りの最大のメリットがあると言えるでしょう。
その一方で看取り期は、患者様の身体の機能が低下していきます。そのため、身体の痛みや状態の悪化に伴い、適切な医療ケアを受けなければなりません。その方法として通院がありますが、既に自力歩行が難しい方にはそれも困難です。そこで、在宅での診療や看護師や介護士によるサポートが良策になります。訪問診療を受けることで、ご本人とご家族の負担を大幅に減らせるでしょう。
看取り期の訪問診療
看取り期の訪問治療が目指すものは、患者様の心と体の緩和ケアです。病気を治すための医療行為ではなく、身体的な痛みやそれに伴う心理的な苦痛をやわらげ、少しでも過ごしやすくすることが目的となります。看取り期の訪問診療では、どのようなケアが受けられるのでしょうか?
身体的なケア
身体の不快感や痛みの緩和を主として、投薬や治療を行うことが可能です。
例えば当クリニックの場合、原則、月2回訪問しながら、以下のような処置を行っています。
なお、がんの末期などで頻回な薬の調整が必要な場合などは、週1回など、より頻回な訪問も可能です。
<医療処置の例>
- 点滴
- 在宅酸素療法
- 人工呼吸法
- 中心静脈栄養
- 胃ろうなどの経鼻経管栄養
- 創傷処置
- カテーテルの取替
もちろん、これら以外にも患者様の状態やご要望にあわせて、幅広い医療処置が可能です。加えて以下のような検査も在宅で受けられます。
<検査の例>
- 血液検査等の各種検体検査
- 心電図検査
- 超音波検査 など
しかしながらCTやMRI検査などの検査は訪問診療での対応が難しいため、近隣の提携医療機関をご紹介いたします。
精神的なケア
訪問診療においては「患者様の心の状態」を把握し、ご家族と共に管理することも大切です。特に患者様ご本人は、時期に訪れる「死」に対する不安や恐怖心を抱きやすく、残されるご家族への想いから精神不安に陥るケースがあります。在宅看取りの最大のメリットであるQOLの向上を維持するためにも、医師が患者様やご家族と連携しながら、満足のいく緩和ケアを行うことが大切です。
終末期の訪問診療と在宅看取りでよくある質問
訪問診療と在宅看取りを検討する方の中には、事前に知っておきたいことが多いものです。そこで、終末期の訪問診療と在宅看取りでよくある質問を集めてみました。
看取りの患者が亡くなると、誰が死亡確認をしますか?
在宅で看取り中に患者様が亡くなった場合は、医師が死亡確認を行い、死亡診断書を発行するのが一般的です。お亡くなりの際には、まず訪問医に連絡します。ただし、担当の訪問医がいない方は自宅でのご臨終となるため、警察署に連絡する必要があります。
看取りの準備はいつから始めたらよいですか?
退院して訪問診療に切り替えたり、継続的な治療から緩和ケアに移行したりする看取りのタイミングは、患者様、ご家族様のご希望や医師の判断によるため、一概に開始時期は決まっていません。しかし、自力で食事ができなくなり、患者様の身体機能が低下してきたら準備を始めるのが一般的です。
個人差があるため、担当医とよく相談した上で決めることが大切です。
まとめ
訪問診療を受けながら看取りを行うことで患者様のQOLを高めるだけでなく、ご家族にとっても愛する家族と共に過ごす時間を増やすことができます。その一方で、終末期に近づくほどに患者様の身体機能が低下し、精神不安にもなりやすいため、やはり信頼できる医師や看護師によるケアが必要です。
横浜ホームクリニックでは、訪問診療を中心に患者様のさまざまなご要望に対応しております。看取り期のご家族のケアにお悩みの方はぜひご相談ください。
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