高齢者やご病気を抱える方が、自宅で安心して医療や介護を受けられるように整備されている「在宅サービス」。その中でも、「訪問診療」と「訪問介護」は特に利用される機会の多いサービスです。しかし、「どちらを使えばよいの?」「どう違うの?」と迷ってしまう方も多くいらっしゃいます。本記事では、訪問診療と訪問介護の違いやそれぞれの役割について詳しく解説します。ご本人やご家族が安心して在宅医療・介護を受けられるよう、ぜひ参考にしてください。
訪問診療とは?
在宅医療のなかの訪問診療
医療の受け方は大きく「外来医療」「入院医療」「在宅医療」の3つに分けられます。そのうちの「在宅医療」とは、病院に通うことが難しい方のために、医師や看護師などの医療従事者が自宅に訪問して医療を提供する仕組みです。在宅医療は、「訪問診療」と「往診」の大きく2つに分類されます。この中の「訪問診療」は、あらかじめ計画された定期的な医師の訪問による診察・治療を指します。
訪問診療の目的や役割
訪問診療の目的は、病院に通えない方に対して、医師が自宅で診療を行うことです。医師はあらかじめスケジュールを組み、定期的に患者のもとを訪れ、病状の観察、投薬、必要な処置を行います。病状の悪化を未然に防ぐ「予防的な医療」としての役割も担っており、病気の早期発見・早期対応にもつながります。
訪問医療で実際に行う診療や処置内容
- 血圧測定や体温チェックなどのバイタル確認
- 血液検査・尿検査
- 点滴や注射
- 薬の処方と服薬指導
- 床ずれや傷の処置
- 緩和ケア
詳しくは、横浜ホームクリニック 医療内容のご案内もご覧ください。
訪問介護とは?
訪問介護は介護福祉士によるサービス
訪問介護は、介護福祉士やホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスです。介護保険を利用し、要支援・要介護の認定を受けた方が対象となります。ケアマネジャーが作成した「ケアプラン」に基づき、必要なサポートが提供されます。訪問介護の導入やケアプランの作成については、こちらの記事をご参照ください。
訪問介護の目的や役割
訪問介護は、利用者ができる限り自立した生活を送れるように支援することが目的です。医療行為ではなく、生活の中で必要となる介助を行い、安心して自宅で過ごせるようサポートします。
訪問介護で実際に行うサービスとその内容
大きく分けて2つのサービスがあります:
- 身体介護:入浴、排泄、食事、着替え、歩行介助など
- 生活援助:掃除、洗濯、調理、買い物など
訪問診療と訪問介護の違い
医療行為を行えるかどうか
訪問診療は、医師が診察や治療を行う「医療サービス」です。一方、訪問介護は医療行為を行わない「介護サービス」です。医療行為が必要な場合は、医師や看護師による訪問診療や訪問看護を利用する必要があります。
各項目における訪問診療と訪問介護の違い
項目 | 訪問診療 | 訪問介護 |
---|---|---|
担当者 | 医師 | 介護福祉士・ホームヘルパー |
保険制度 | 医療保険 | 介護保険 |
対象者 | 通院が困難なすべての人 | 要介護認定を受けた人 |
サービス内容 | 診察・治療・投薬など | 身体介護・生活援助 |
医療行為 | 可能 | 不可 |
訪問診療・訪問介護に関するよくある質問
Q1:訪問診療で介護保険が適用されるケースがあるのですか?
はい、医師や薬剤師などが患者宅を訪れてアドバイスを行う「居宅療養管理指導」は、介護保険の対象になります。ただし、診療や処置を伴う場合は医療保険の適用となります。
Q2:訪問診療は介護保険と医療保険のどちらが優先されますか?
原則として、医療行為を伴う場合は医療保険、介護サービスに該当する場合は介護保険が適用されます。訪問診療は医療行為のため、基本的に医療保険が優先されます。
Q3:訪問看護と訪問介護の違いは?
訪問看護は、看護師が医師の指示のもと医療処置を行うサービスです。一方、訪問介護は、生活援助や身体介護など、日常生活を支えるサービスとなります。
まとめ
訪問診療と訪問介護は、目的も提供者も異なるサービスですが、どちらも在宅での安心な暮らしを支える大切な支援です。医療的な対応が必要な方は「訪問診療」、日常生活の介助を必要とする方は「訪問介護」。このように使い分けることで、より良い在宅生活を実現できます。横浜市で訪問診療をご希望の方は、ぜひ横浜ホームクリニックまでご相談ください。
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