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疾患について

パーキンソン病について

パーキンソン病の概要

パーキンソン病は中枢神経系の変性疾患であり、主にドーパミン神経の減少が原因とされています。疫学的には、65歳以上の高齢者に多く発症し、日本では約1000人に1~2人が罹患するとされており、日本では女性にやや多い傾向が報告されています。加齢が最大のリスク因子であり、発症率は高齢になるほど増加します。

主な症状としては、振戦(手足の震え)、筋固縮(筋肉のこわばり)、無動(動作の遅れ)、姿勢反射障害(バランスの悪化)などが挙げられます。また、進行に伴い、認知機能の低下やうつ症状、自律神経症状(便秘、低血圧)などが現れることもあります。

パーキンソン病治療薬

パーキンソン病の治療において中心となるのがLドパ(レボドパ)製剤であり、以下の薬剤が使用されます。

  • DCI製剤(メネシット、マドパー、ネオドパストン、ドパコール など)
  • レボドパ配合剤 + COMT阻害薬(スタレボ など)

また、病状が進行すると、wearing off(薬効が切れるタイミングが早まる)やジスキネジア(不随意運動)といった症状が出現しやすくなるため、それに応じた薬剤調整が必要になります。

wearing off への対応策

  • 服用回数の増加
  • COMT阻害薬の追加(コムタン、エンタカポン、オンジェンティス など)
  • MAOB阻害薬の追加(セレギリン、ラサギリン、サフィナミド)
  • Lドパ賦活型製剤の追加(ゾニサミド[トレリーフ] など)

症状ごとの治療薬の選択

  • すくみ足の改善:ドロキシドパ(ドプス)
  • 振戦の抑制:Lドパ賦活薬(トレリーフ)、抗コリン薬(アーテン など)

進行期の対応策

内服が難しくなってきた際には、以下の選択肢があります。

  • 貼付製剤(ハルロピテープ)
  • 持続皮下投与(ヴィアレブ)
  • 特にヴィアレブは、ドーパミンの血中濃度を一定に保ちやすく、ジスキネジアなどの副作用を抑えることが期待できるため、長期のパーキンソン病罹患者にとって有用な選択肢となります。

    横浜ホームクリニックの取り組み

    当院には神経内科医が2名在籍しており、パーキンソン病治療においても各種薬剤の処方や調整が可能です。在宅医療の現場でも、高品質な医療を提供し、患者様が安心して日常生活を送れるようサポートしてまいります。

    今回は、昭和大学横浜市北部病院神経内科の渡辺拓哉先生をはじめ、多くの医師、薬剤師、看護師の皆様にご参加いただき、パーキンソン病についての勉強会(クルズス)を開催いたしました。今回の勉強会では、パーキンソン病の基本的な知識から最新の治療薬に至るまで、幅広く学ぶ機会となりました。今後も、こうした勉強会を通じて地域の医療連携を強化し、より良い医療の提供を目指してまいります。
    これからもよろしくお願いいたします。

    文責:横浜ホームクリニック 院長 大澤基

    発表者

    • あろは薬局 亀ヶ谷 健 様

    参加者一覧

    • 昭和大学横浜市北部病院 神経内科 渡辺拓哉 先生
    • 元昭和大学横浜市北部病院 循環器内科 / 現 きくな小児科皮ふ科内科クリニック 沼尻嵩生 先生
    • あろは薬局 亀ヶ谷 久栄 様
    • フォーライフ薬局 松田 様
    • センター北あおい薬局 鈴木 様
    • 看護師 永田梨夏 様
    • 横浜ホームクリニック 大澤

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