通院が困難な方にとって、自宅で薬を受け取れる「訪問薬局(在宅訪問薬剤管理指導)」の制度は非常に心強いものです。しかし、「費用はいくらかかるの?」「介護保険が使えるの?」「どうやって利用するの?」といった疑問から導入を迷っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、訪問薬局の基本から費用、制度、導入までの流れをわかりやすく解説します。
訪問薬局とは?
訪問薬局とは、薬剤師が医師の指示に基づき、自宅や施設を訪問して薬の配達・服薬指導・体調管理の助言などを行うサービスです。正式には「居宅療養管理指導」と呼ばれ、介護保険・医療保険の対象となります。高齢者の一人暮らし、寝たきり、認知症など、通院や薬局での受け取りが難しい方を対象に、医師・看護師・ケアマネジャーと連携しながら、安心して服薬を続けられる環境を整えるための仕組みです。
医師による薬の処方から受取りまでの流れにつきましては、こちらも記事もご参照ください。
訪問薬局の費用はどれくらい?
費用は主に「保険適用」となり、自己負担額は以下のようになります(2025年時点の一般的な目安):
【介護保険適用の場合】
- 通院が困難である
- 医師が訪問薬剤指導を必要と判断している
- 居宅または施設で療養している(入院中は対象外)
- かかりつけ医やクリニックに相談
- 薬剤師が訪問可能かどうか確認
- ケアマネジャーと連携(介護保険利用の場合)
- 医師の指示に基づいて訪問開始
1回あたり518円(1割負担の場合)
➡月2回の訪問で1,036円
【医療保険適用の場合】
1回あたり650円(1割負担の場合)
➡月2回の訪問で1,300円
※上記とは別にお薬代がかかります。また、薬局によって交通費を請求される場合もあるため、事前確認がおすすめです。
訪問薬局のサービス内容
訪問薬局で受けられる主なサービスは以下のとおりです。
■服薬の管理
お薬を飲み忘れないように、朝・昼・夕に飲むお薬をわかりやすく分けたり、数種類の薬を一包化したりして患者様が管理しやすいように整理します。
■効果や副作用などの説明
効果や副作用について十分に理解していないと、ご自分で服薬を中止してしまうなどして病状が安定しないことがあります。処方された薬に対する正しい理解が得られるよう丁寧に説明をします。
■残ったお薬の調整や処置
医師と相談し不要な薬を廃棄したり、併用禁忌の薬が出ないよう適切に処置したりします。
■体調変化のチェック
食事や排泄、睡眠といった普段の生活の中から、薬の副作用による体調の変化がないかを訪問時に確認します。
また、訪問薬局、訪問診療、訪問看護、ケアマネジャーはそれぞれ互いに連携しており、患者様の体調や服薬状況については随時関係者に共有されます。特に、認知症や寝たきりなどの服薬管理が困難な方にとって、薬剤師の定期訪問は大きな安心材料になります。
居宅療養管理指導とは?
居宅療養管理指導は、在宅医療を支える制度のひとつで、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、看護師などが対象です。訪問薬局はこの制度のもとで運用されています。介護保険の認定を受けている方であれば、ケアプランに組み込むことで、介護保険での利用が可能です。認定を受けていない方や疾患の性質によっては医療保険での適用となります。
訪問薬局を利用できる条件とは?
訪問薬局の利用には、以下の条件を満たす必要があります。
導入の流れ:まずは相談から
訪問薬局を利用するためには、以下のようなステップがあります。
当院(横浜ホームクリニック)では、かかりつけ医との連携のもと、地域の訪問薬局と協力しながら、ご自宅での薬剤管理の支援を行っています。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 訪問薬局は誰でも利用できますか?
A. 通院が困難であり、医師が必要と判断した場合に限られます。
Q. 介護保険が使えないと利用できませんか?
A. 医療保険でも利用可能です。状況によって適用される保険が異なります。
Q. どこの薬局が対応しているか分かりません。訪問薬局を紹介してもらえますか?
A. もちろんです。ぜひ一度お電話またはお問合せフォームよりご相談ください。
まとめ:訪問薬局は、在宅療養を支える重要な選択肢
訪問薬局は、単に「薬を届ける」だけでなく、医療チームの一員として患者様の生活全体を支える役割を担っています。費用面についても介護保険・医療保険が適用されるため、自己負担は想像よりも小さいケースが多く、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。「訪問薬局、うちでも使えるかも…」と思った方は、ぜひ担当のケアマネジャーまたはかかりつけの医療機関までご相談ください。
横浜ホームクリニックでも、随時ご相談を承っています。横浜市にお住まいの方で、「介護保険も申請していない、かかりつけの医療機関もない…」という方は、ぜひ当院までお問い合わせください。
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